メインテナンスで受診した患者さんの言葉にハッとしました。
受診した患者さんに「お変わりはないですか?」と尋ねると、多くは「問題ないです」「快調です」という返答をいただきます。
しかし、この「よく噛めている」という言葉は、歯科医師としての職業の意義を見出す言葉に感じたからハッとしたのです。
歯科医師としての仕事の意義は、よく噛める、つまり口腔機能を回復する、ひいては患者さんの豊かなクオリティイオブライフに貢献できるように行うことなのです。
「噛むことができる」というのは、ただ食べ物を食べるということではありません。栄養をしっかりと取り、健康な体を保つことに繋がるだけでなく、ひいては人とのコミュニケーションに自信をもたらし社会生活にも良い影響を与えます。患者さんの笑顔を取り戻し、毎日の生活を楽しむ手助けになること。
どんな職業でも日々の忙しさから、大切なことを忘れがちです。今一度立ち止まって考える時間も必要ですよね。 そんな今日は嬉しかったことを紹介してみました。
あとがき)
今年も残すところあとわずかになりました
12回で構成している、当院院長が主体の北山臨床研究会主催の講習会ももうすぐ終了です。桑田先生のお言葉にもあったocclusion is dentistry 再度、咬合について改めて学びました。
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記憶がおっくうで無理かな?なんて思ったことはないですか?
なのに、何を思ったかTOEICに挑戦してみようと・・・
試験会場に行くと、隣の女の子が小学3年生の患者さんだった...驚きと恥ずかしさとで複雑な気持ちになったことを覚えています。
しかし、何か希望、記憶力アップの、がないものかと考えているうちに、同じ時期に知った用語「アクティブリコール」についてシェアしたいと思います。
思い出しを学習に活かす、アクティブリコール
アクティブリコールとは、学習した内容を意識的に思い出す努力をする行為が、長期的な記憶の定着や深化を促す。そうした学習や記憶のプロセスにおける概念です。
記憶法には個人個人によってそれぞれ覚え方ってありますよね。
一夜漬けをする、たくさん書いてひたすら覚える、など。
しかし、アクティブリコールの概念では、覚えることではなく"脳の中から情報を取り出す作業が最も重要"としています。
●アクティブリコールの方法
・質問形式で自問自答をする
・教える側になって他者に学習した情報を説明する
といった方法などがあり、どれもアクティブな取り組みといえます。記憶の定着と応用の促進に役立つとされているのです。
歯科においても、予防歯科を学習したい場合、書籍、座学、実習などさまざまな形で学べます。
しかし、教えることが最大の学習ともいえるかもしれません。
まつわることを思い出しながら、記憶を定着させる。
私たちの脳の働きをうまく利用した学びも体験してはいかがでしょうか。
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しかし、特に他院で「歯周病中等度から重度」と診断を受けて来院される患者さんは、何故か紹介状をお持ちでないことがとにかく多いのです。
もちろん当院は紹介状がなくても問題ありませんが、他院の歯科衛生士さんから『そっと紹介』を受け来院されるケースが多いのです。
私はこうして当院に来院された患者さんを「そっと紹介患者さん」と呼んでいます。
「他の医院から転院するなら、いっそ茂野歯科に行った方が良いよ。」
「歯周病で有名だから言ってみたらと言われてきました」
「ずっとクリーニングしてもらっていたけど、専門の先生に一度見てもらったら?」
...などなど理由は様々です。
これまで当医院では院長を中心に、歯周病治療に関する書籍出版や講習会開催などを手掛けてきています。
それらを通して多くの歯科衛生士さんとの出会いがあったご縁で、患者さんを紹介してくださっているのだと思います。
歯周病も中等度から重度になると、歯科衛生士さんだけではなくドクターとの密接な連携が必要です。
治療側のコミュニケーションがうまく取れないと歯周治療は成功しません。
「そっと紹介患者さん」の診療を通じて、その口腔内や会話から感じ取れることがあります。
長くメインテナンスしてもらっていたであろう前医院の歯科衛生士さんの頑張りです。
"歯科衛生士さんはとても頑張ってくれている"と静かな、しっかりとした声が聞こえるのです。
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こんな質問を患者さんから受けることがあります。
ちょっとユニークな質問なので、今回はこれに答えてみたいと思います。
結論から先に言います。
私の答えは「音波式電動歯ブラシ派」です。
なかなか磨きにくい箇所も音波の力で、ただ歯に当てておくだけなのにきれいにとれる。
きれいにプラークがとれるということは当然、虫歯や歯周病の予防に大きくつながります。
加えて歯の着色をしっかり取り除いてくれる優れものです。
今のお気に入りは「BLACK IS WHITE」の音波式電動歯ブラシです。
これまで数多くの音波式電動歯ブラシを使用しましたが、歯のステインを落とし、輝く白い歯を保つ歯ブラシとして今のお気に入りです。
虫歯・歯周病・歯の着色除去この3つの要望をしっかりカバーできており、専用の粉歯磨きがあることも嬉しい点です。
なにやら褒めてばかりですが、電動だからと適当に磨いても大丈夫ということはありません。
自動的に磨けるわけではなく「音波式電動歯ブラシ派」もきちんと使いこなせてこそ、その効果は発揮されます。
実際、使いこなせていない患者さんが圧倒的に多く、プラークが歯の面に残ってしまっているケースは散見されます。
どんな歯ブラシであれ、専門の歯科衛生士や歯科医師に自分の使用方法が適切かどうか指導してもらうことが大切です。
音波式電動歯ブラシも優れた道具と認識し、プロに学ぶ。
これが着色を取り除き、健康で美しい歯を保つ王道なのです。
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新たな想いを持って今年を迎えた方も多いのではないでしょうか?
昨年(2022年)のお話ですが、京都の京セラ美術館で開かれたエルメス・イン・ザ・メイキング展から話題を一つ。
エルメスはハイブランドの頂点に立つと言っても過言ではないブランドの一つですが、ご存知の皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
職人技、お値段が高い、素敵、憧れ....様々な感想があることと思います。
私の感想は...「伝統的な技術を大切に、クオリティーの高い職人技」です。
革新はいつの時代も求められますが、伝統を大切にしながら、時代の移り変わりによって使用する器材は多少違えど、素晴らしい技術の積み重ね。ただただ感動。
ハイブランドの値段設定にも納得してしまいました。
価格だけにフォーカスを当てると「高価だから」一言で終わってしまいます。しかし材料の調達、制作に携わる方、技術等の価値を考えると、ハイブランドとしての妥当性があるんだなと納得するのです。
これを歯科に例えるとどうでしょう?
代表的な被せ物一つのセラミックスクラウンにしても自由診療で、保険診療に比較すると高価です。
しかし、そこには歯科医師と、技工物というモノを制作する歯科技工士(デンタルテクニシャン)、セラミックスクラウンを口腔内に入れることができるように歯周環境を整える歯科衛生士(デンタルハイジニスト)、患者さんが心地よく医院に通えるようにサポートしてくれる、コデンタルスタッフが関わってきます。
歯科という仕事を通じてのプロセスやストーリーにフォーカスが当たるよう尽力したい。
そう思ったのです。
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皆さんにとってどんな年でしたか?
「あっという間だった」「案外長かった」「いろいろなことに挑戦できた」...様々な意見があるでしょうね?
2022年もコロナ禍は継続し、政治や経済でも混迷ぶりが目立ちました。
これまでの常識がなかなか通用しない世の中になってきたことを、強く感じる年でもありました。
●
さて、わたしたちの2022年の活動を振り返らせてください。
予防歯科の重要性をお伝えするのはかねてから変わらず、啓蒙ペーパーや歯科グッズを通じて、
患者さん目線での伝え方にとりくみ、口腔ケアに興味を持ってもらう活動を行いました。
同じコンセプトで、歯科雑誌へ寄稿もしました。
最新機器の取り扱いも
模型の型をとる代わりに口腔スキャナーでのスキャニング。
3Dプリンターでの模型や仮歯の制作。
今年は、学生さんアルバイトの新しい若い力が加わって、職場がさらに活気づきました。
25年以上前に患者さんとして通っていた学生さんが、今では家庭を持ち、当院のパソコンの導入インストラクターとして来ていただきました。
以前アルバイトをしていた大学生の結婚の報告もありましたね。
小学校から通っていただいているちびっこからは医師国家試験に合格しましたいう知らせも嬉しかったです。
世の中にデンタルIQの向上を広めたい、という想い。
大げさかもしれませんが、真摯な思いです。
毎日がちょっとした幸せが積み重なって、豊かな人生につながると思う今日この頃です。
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当院では主に酸化電位水で診療前や術後、また普段のお口の洗浄に患者さんに使用していただきます。
日本では32%、アメリカでは63%の人が洗口液を使用しているそうです。(アース製薬調べ)
こうしてみると日本人の洗口の割合は低いと感じますね。
患者さんとお話しをしていると口臭予防に洗口液を使用している方が多いように感じます。「お口くちゅくちゅモンダミン」のCMのイメージがかなり強いのでしょうね。
歯科医院専売の薬用洗口液があるのをご存知ですか?
- 歯科医院専売の薬用洗口液〜3つの薬用成分
1)原因菌を殺菌(CPC 塩化セチルピリジニウム)
2)歯茎の炎症を防ぐ(GK2 グリチルリチン酸ジカリウム)
3)歯茎からの出血を防ぐ(TXAトラネキサム酸)
ちなみに当医院で日常の診療で使用したのですが、口腔内の状態が改善される方が多い結果となりました。
(こんな方におすすめです)
・歯科医院で、いつも歯ぐきの炎症の箇所が多いですよ、と言われる方。
・介護の現場で介護される方の歯茎の炎症が気になる方。(スポンジブラシにつけて使用できます)
・口内炎がよくできる方
・歯ぐきの健康のためうがいを取り入れたい方
(今回紹介した洗口液)
●アース製薬「歯科医院専売洗口液 モンダミンハビットプロ」
うがいをすると、お口の中での滞留時間が3〜4時間続くことがうれしい効果。ノンアルコールで刺激が少ないのも特長です。
]]>マラソン大会で良い成績をおさめたいから、という方もおられるでしょうが、多くの方は健康のためというのではないでしょうか?
そして、年を重ねるほど健康に関心を持つ方は増えていきます。
特にダイエットが目的!という方を考えてみます。
身体はどこも悪くはないが、いつまでも健康でいたいから。
これを「口の中」におきかえてみるとどうでしょう?
"どこも悪くはないが歯やお口の中のケアをするために歯科医院に通っている。"
さて、どのくらいの方が実行されているでしょう?
毎日走ったり、散歩したり、が日常生活の一部になっているのに、歯科医院はご無沙汰です、という人は少なくないのでは?
つまり、予防なんですね。
歩くのは、健康な時からやっているように、
お口の中も健康な時から気にかける、という方は多くはありません。
しかし、身体と同じようにお口の中も「健康維持」=予防、で考えるべきなのです。
お口は食べ物を摂取する最初の入り口ですから全身の、それも臓器の一部として考えていただきたいのに、なぜか切り離して考えている方が多いのには驚きます。
よく噛める=「予防」が重要!だということです。
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それは、「医科の治療にあたり入院する前に、口腔ケアを受けにいらっしゃる患者さん」の増加です。
治療担当医から口腔ケアの重要性を指摘されて(歯科医院に)来院される方もいれば、入院先での術前口腔ケアが不安で来院される方も少なくありません。長年、同じ歯科衛生士にお口の管理をしてもらっている患者さんからすれば、当然の心理かもしれません。
日常の口腔ケアの重要性はいうまでもありませんが、いざ入院となった際に口腔ケアの重要性は格段に増してきます。
■なぜ手術の前の「口腔ケア」が大切なのでしょうか?
「入院」だけでも大変なのですが、特に全身麻酔で手術を受ける方にとって口腔ケアは極めて重要です。
例えば、全身麻酔では口から気管チューブを挿入します。
口の中には細菌がたくさん存在し、そんな状態では、肺に細菌を押し込むことになります。つまり肺炎や気管支炎などを発生させるリスクが生まれるのです。
歯科は受診していないが自分ではしっかり磨けているという方もおられますが、そんな方ほど要注意。自己流の磨き方では歯石がつき、歯周ポケットが深くなっている可能性があるからです。歯周病などで歯が動いていると、気管チューブ挿管時に動いている歯が抜け、誤って飲み込んだり、気管に入ってしまうこともあるのです。
■全身麻酔をうける前には、歯科衛生士さんに口腔ケアを念入りにしてもらいましょう。
日頃からケアをしていれば歯周病の心配はないかもしれません。ただ、入院前は再度のチェック!が大切です。小さな詰め物が外れかかっていては気管チューブ挿管時のリスクとなります。しっかり歯科でレントゲンでチェックしてから入院される方もおられます。
さらに、術後は全身の状態が弱っています。すぐ元気に動ける方は極めて稀です。そんな時に口腔ケアが不十分で口腔内細菌が多い状態であると、術後の感染リスクが高まります。
■最も大切なこと
手術予定の有無に関わらず、日常から歯科医院へ定期的に通院し、お口の中を健康に保っておくよう心がけることです。万が一の事態にも慌てずにすみます。
最後に、私が入院した時に持参した口腔ケアグッズを紹介します。
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・歯ブラシ
・歯間ブラシ
・フロス
・マウスウオッシュ(モンダミン歯科専売品)
・歯磨剤(飲み込んでも問題がないオーラスピース)
・うがい受け(入院先にあっても、自分の物が使いやすい)
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フレイルとは「虚弱」という意味の、[frailty]に由来する造語です。
年齢を重ね、病気ではないけれども心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい虚弱になった状態を指します。
おなじように口の虚弱は「オーラルフレイル」といいます。
では「口が虚弱に陥る」とはどのようなことをいうのでしょうか?
「硬いものがかめない」「口のかわきが気になる」「食べこぼす」「むせる」など、
「些細な口腔機能の低下」がオーラルフレイルなのです。
やや極端な例えですが
硬いものがかめない・かみにくい
↓
やわらかいものしか食べない
↓
かむ機能が低下する
↓
食欲が低下する
↓
全身の栄養状態が低下する
↓
虚弱
↓
身体機能の低下
↓
社会活動ができない
そして、寝たきりに。。
こうしてドミノ倒し的に衰えてしまうことを特に「フレイルドミノ」といいます。
■「フレイルドミノ」を食い止めて、健康でであるための考え方
フレイルに陥らないためには3つのことが大切です。
1)栄養(食・口腔機能)
2)身体活動(運動など)
3)社会参加(就労・余暇活動)
3つのフレイル予防で、おそろしいフレイルドミノを食い止めることができます。
もともと口は、食物を食べるだけでなく、笑ったりコミュニケーションをとったりと言うように大切な器官です。
美味しく食事を取ることができないと、食欲も低下しまたお友達と食事会に行くのもなんだかはばかられますよね。
このように毎日はたらき続ける「口」。使い続けるからこそ、加齢によって変化も出てきます。
歯科を受診するのが大嫌い。自分は大丈夫と自分の歯を過信をしている。...様々な理由で歯科受診を何年もしていない方は意外と多いのではないでしょうか?
■フレイルにならない習慣づくり
歯周病によって歯が動いている・歯が抜けたままになっている・口が乾きうまく飲み込めない様々有ると思いますがこれらの状況から言えることは、フレイルの1歩手前です。
うまく咀嚼できないことが消化吸収の妨げになり全身の栄養状態にも関わります。
オーラルフレイルにならない習慣づくりにも大切なことが、3つあります。
1)口腔機能の低下を防ぎ、しっかりかめる口腔環境づくり
2)歯を失わないためのメインテナンスの定着
3)口腔周囲筋の運動を行い唾液の分泌を促し、しっかり嚥下できるようにトレーニング
フレイルにならない習慣づくり、ぜひ今日から心がけてみてください!
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幼い頃によく読んだ本なのですが、先日、久しぶりに手に取りました。
もう記憶も断片的で、最初は思い出しながら読み進めていたのですが
すべて読み終えたとき、私は目頭が熱くなってしまいました。
同時に、遠い幼い日のあのときの気持ちと今のそれとでは、
果たして同じなのか?違うのか?
今では知るすべはありませんが、ふとそんな思いがよぎり、
歯科医院のスタッフ全員にも読んでもらいました。
「おもしろい!」「それほど感動しなかった」「泣けてきた...」
皆それぞれ経験や歩んできた人生も違うからでしょうが
見事にバラバラの感想。面白いものです。
様々な恩師、患者さん、同僚、友人たちに出会い、別れ、
いろんな出来事を体験し、学び、悩み、喜び、悲しみ、時に励まされ、、、
臨床で経験した様々な出来事も、失敗も喜びもいまの自分の人生に大きく影響しています。
しかも、それは自分だけのもの。
なんというか指紋のようなものでしょうか。
とき折々に感じた何かを抱き続けながら、明日も診療に臨みますが
少しだけ新鮮な想いを乗せることができそうです。
「100万回生きたねこ」に新ためて出会い、
そんなことを考えました。
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予防歯科は各自の心がけと努力が欠かせません。
そして健康維持のためには定期メインテナンスが欠かせません。
メインテナンスの大切さはわかってる(つもり)だが
続かずに定期通院のリズムが乱れてしまう方も少なくありません。
「定期メインテナンスをもっと親しみやすく伝えることはできないか!」
そう考え、スタッフの間で企画した「スマイルクラブ」。
情報配布に工夫した取り組みです。
メインテナンスを受けたら、その都度小さなゴールに到達できるものです。
2019年4月にスタートして早一年、スタッフも感慨深いものがあります。
↓スマイルクラブノート
一区切りの際に進度にあった豆知識ノートとグッズをお渡しし、口腔内への関心を維持し高めてもらう。
スマイルクラブで行ったのは二つの工夫です。
■予防の重要性が伝わること
わかってるつもり→身につく情報配布
その人の置かれてるステージに、適切な情報を。
■モチベーションが維持できること
途絶えがち→がんばれる工夫
ひとつひとつ階段を上り、ふと気がつくと節目のゴールまできた。
といった感覚を。
患者さんが自発的に関わりたくなり、要望に役立つ。
そんなコミュニケーションを今後も考えてゆきたいです。
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特に、起床直後のブラッシングはウィルス感染対策には不可欠。必ず日課にしましょう。
ではなぜいま、こうした基本立ち返ったブラッシングをお伝えするのか。
それは、昨今の新型コロナウイルスの対策も兼ねた口腔内のケアとして、ブラッシングを見直していただきたいからです。
もう必須条件となっている手洗い・マスクと同じように口腔内のケアも実は大切なのです。
ウイルスは手を介して、または直接私たちの目・鼻や口から侵入します。特に問題なのは、手を介しての口からの侵入系路です。
口の中には沢山の常在菌がいます。その常在菌の出すタンパク質にウイルスが吸着する受容体があります。(新型コロナウイルスはACE2受容体につくことがわかっています。)
常在菌(つまり歯周病菌)はウイルスを粘膜に侵入しやすくする酵素(プロテアーゼ)を出します。
つまり、この酵素がウイルスが細胞に侵入するきっかけをつくってしまうのです。
ただ磨いているだけのブラッシングではなく、口腔内細菌をしっかりコントロールできるブラッシングへと進化させることが重要です。
・口腔内のブラッシング
・フロス、歯間ブラシ、舌ブラシを用いる
・こまめなうがいを行う
といったコントロールで、口腔内を常に良好な状態につとめましょう。
歯周病菌などのグラム陰性菌のLPSはサイトカインストーム、わかりやすくいうと「免疫システムの暴走」に関わっているとも考えられています。(キーストーン病原体仮説)
口腔内に虫歯や歯周病がない、細菌が悪さをしない状態にきれいにしておくことで、感染による免疫低下から菌血症が敗血症に変わる、あるいはサイトカインストームに発展する等、重篤な疾患になる系路をたどらないようにすることが重要です。
ここにこそ、口腔内をきれいにしておく重要性があります。
怖さを感じると共に、感染に対して神経を尖らせている方も少なくないことと思います。
歯科医院の感染対策はどうなっているんだろうと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
至近距離で口腔内に触れることによるイメージのようです。
結論から言えば、歯科医院ほど感染対策に気を配っているところはありません。
なぜならまさに診療の性格上、普段から高度な対策を要求されてきたからです。
タービンハンドピースの患者さんごとの交換や診療毎のチェアーユニットの清浄消毒などは当たり前。治療毎の術者の手洗い、うがい励行等、様々なさらに深い対策も行なってます。
例えば「水」。
当医院では塩素濃度が低下しない仕組みを早くから取り入れています。電解中性機能水システム『ポセイドン』といいます。
ユニットやタービンはもちろんトイレに至るまで、院内全ての治療水の衛生状態を「細菌数検出限界以下」という最高レベルに保っています。
水は、患者さんが座るユニットチェアーにも流れています。あらゆるバイオフィルム(細菌産生膜)が形成されないように対策しているのです。
さらに、私たちはふつうに生活していても、手や口に実に多く触れています。
危険はどこにでもあると言えます。
新型コロナウイルス対策として普段より強化していることはあります。
一つは、よりこまめな換気です。換気扇による24時間全室常時換気は言うまでもなく、患者さんのいらっしゃる合間に医院の扉を定期的に開放しさらなる対策を行っています。
また同時に、院内の加湿・空気清浄機の稼働・口腔外バキュームの使用で飛沫感染の対策を行っています。
患者さん自身での対策もお願いしています。診療前にEO水(酸化電位水(次亜塩素酸水))によるうがいを行ってもらっています。口腔内は細菌が多いのでEO水でのうがいによって口腔内の細菌を減らす、自身とその場にいる方々を守る大切な行為です。
さらに患者さん同士の接触を可能な限り避ける予約管理まで含めて、強化策を日々行なっています。
現在、新型コロナウイルス対策には明確な治療法がないと言われています。
それはすなわち予防を徹底するしかありません。
感染予防はイメージではなく科学。
普段からの感染対策とノウハウをさらに進化させて医院を運営してしています。
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さて、以前このブログでもお話しました「標準予防策(Standard Precautions)」。
「全ての湿性生体物質は、何らかの感染性を持っている可能性がある」という概念を前提にした感染予防対策の総称です。
例えば、手洗いひとつとっても洗い方やその後の処理などにより、感染しやすさは変わります。感染の原理を知ることが重要ですね。
そこで、当院で気をつけ実施していることを今回ご紹介します。
■感染対策の柱:手洗い(手指衛生)。
1)まず流水で水洗いし、付着した有機物を取り除きます。(手指に付着した有機物は消毒剤の作用を減弱させるためですが、院内では電解中性機能水がすべての水道の蛇口から出てきます)
↓
2)ハンドソープなどを用いて手指全ての表面を十分に泡をたて、互いに強くすりあわせます。
↓
3)指先、特に爪の周囲、指の間、手背、手首及び親指の付け根を十分に洗います。
↓
4)その後流水で十分に洗い流し、ペーパータオルでふきとり乾燥させます。
■EO水*を用いて:うがいを行います。
*酸化電位水(EO水)は水道水に食塩を加え電気分解を行い生成されます。多くの病原微生物やウィルスを瞬時に除菌しますが、薬品と違って残留性がなく、人体に無害です。EO水は様々な場面で応用されています。
※北山茂野歯科医院では各患者さんの治療前及び治療後のユニット清拭や口腔内洗浄また患者さんのご自宅での含嗽用とし患者さんにお分けしています。
■重要な予防策として再認識: 起床後の歯磨き。
就寝中は唾液の分泌量が減ります。口腔内は細菌が繁殖している状態です。朝起きてうがいをする方は多いようです。しかし、うがいだけでは細菌を除去することはできません。ブラッシングを行うことによってはじめて細菌数を減らし、ウイルス等が上気道で感染するリスクを減らすことにつながります。ブラッシングつまり起床後の歯磨きが予防のポイントです。
以上の3つのことを、標準予防策として大切にして特にこの期間は乗り切っていこうと思います。
]]>残念ながら避けて通るわけにはいきません。
耐震などの防災対策はもちろんなのですが、各人が生活を維持するために可能な「備え」にも工夫はあるものです。
たとえば歯磨き。お口のケアは全身の健康を維持するために欠かせないもののひとつです。
■歯磨剤が必要ない歯ブラシで、備える
歯ブラシの「美」という商品があります。一言で言うと、自分の唾液だけで磨ける歯ブラシです。
単に汚れをブラシに付着させるタイプとも違い毛先にハイドロキシアパタイトがナノコーティングされており、磨くたびに歯面をコーティングし汚れの付着を防止します。歯磨剤をつけずとも歯は「つるつるぴかぴか」。1本1本手作業でコーティングがなされ、大事に加工されています。
当院でもリピーターが多い、この歯ブラシ「美」。災害時の歯ブラシ備蓄用として保管に最適だと言うことに気づきました。
販売元に保管について問い合わせると、すでに自治会で備蓄しているところもあるといいます。
災害時の備蓄品で大切な考え方は、平時に必要なものは災害時にも必要であると言うこと。
備蓄品の中に歯ブラシがあるかぜひ確認してくださいね。
より「備え」にふさわしいものならば言うことはありません。
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歯科衛生士に限らず、治療をしている歯科医師や患者さんをチームで支えるデンタルコーディネーターや受付で対応するスタッフも、患者さんのことを把握しています。
歯科医師や歯科衛生士は職業柄、患者さんの口腔内を良く覚えています。
顔を思い出すことができなくても口腔内写真をみると患者さんのことを思い出しますし、治療の履歴も覚えています。
デンタルコーディネーターはというと、患者さんとお話した内容から、口腔内の状態だけでなく、趣味嗜好なども良く覚えています。
患者さんが通院を重ねる度に、歯科医院側は患者さんを診るごとに、患者さんのことをより理解していきます。
だからこそ、急に患者さんの来院が途絶えたりされると、どうかしたんだろうかと心配するのです。
■かかりつけ歯科衛生士が持つ力とは?
歯科衛生士の技能、診査力が高いレベルにあることはなんでしょう?
言葉を恐れずにいえば、それは「診断能力」の高さです。
■かかりつけ歯科衛生士と、通院継続の重要性
何の症状もないときに歯医者さんに通う。一見、無駄にみえるという気持ちはわからないでもありません。しかし、今が良いからその状態がずっと続くという保証はありません。
たとえば天気予報。地球内外から、人類の英知をかけてあらゆる地域の天候を監視、分析しています。天気予報をみずに、雨が降ってから傘を用意するのは、無駄が多いと言うことになります。メインテナンスのために歯科医院にかようと言うことはある意味天気予報と同じで、言い換えると「転ばぬ先の杖」、つまり、問題が起こる前に様々な観点から事象を分析し、問題が起きないように予防すると言うことになります。
優秀な歯科衛生士は患者さんの様々な変化を見逃さず、エビデンス(証拠)や過去の経験と照らし合わせて患者さんの状態を判断をします。
そのために欠かせないのは「患者さんが通院を怠らないこと」なのです。
かかりつけの醍醐味とは、歯科衛生士と患者さんとの関係の深さともいえますね。
このブログでたびたび、歯科衛生士は治療計画に関心を持ち、勉強すべきと説いてきました。そうしたかかりつけ歯科衛生士を持つということが、よりよい口腔の健康を維持できるのではないでしょうか。
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ここで注目したいのは、どの話題にも「口腔内の健康」が含まれることです。
糖尿病・脳卒中・心筋梗塞・誤嚥性肺炎・癌・低体重児早期出産などのリスク。歯周病がそれらに強く影響することはもはや周知の事実。口腔内と全身の健康との関わりが意識されていることがわかります。
当院には、「入院することになったのでその前にメインテナンスを受けたい」という患者様や、退院後に真っ先にメインテナンスで受診される患者様が少なくありません。むろん入院することになった病院でも口腔内のメインテナンスは行われます。しかし、今まで受診していた歯科医院で、かつ同じ担当の歯科衛生士に口腔内を管理をしてもらいたい。そう願う患者さんが多いのです。
長年患者さんのお口の中を見ている歯科衛生士は、患者さんの磨き方の癖やいつも炎症がある箇所をしっかり把握しています。歯間ブラシの通し方のくせ、生活習慣、趣味嗜好なども気にしています。
だからこそ、患者さんもメインテナンスの重要性や、口腔環境の重要性を知ることになっていると思えます。口腔内を理想的な状態に保つことが、全身の健康につながることを体感しているのです。
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ある歯科の分野だけに特化した治療、考え方の追求はとても大切であると思います。米国での歯科治療では専門医、つまりスペシャリストが存在します。
例えば根管の治療を根管治療の専門医が行い、その後の修復治療は、補綴の専門医が行います。もちろん各治療は全てが自由診療です。
しかし、私が尊敬している桑田先生と以前お話をしていた時、米国の専門医のあり方は昔と少し変わってきているとおっしゃっていました。
これまでは補綴の専門医であってももちろん、根管治療や歯周治療、口腔外科にいたるすべての歯科、どの科目にも精通していた。しかし、現在はそうでなくなってきている。そうした傾向があるということなのです。
口腔の機能や役割を考えると、全ての歯科分野においてオールマイティーな技術と知識が必要になると考えています。
例えば歯周治療専門医は、炎症のコントロールと咬合力のコントロールに精通しているから歯周病患者さんの治療が行え、補綴専門医であっても歯周疾患治療ができるからこそ、機能が整った美しい歯並びを保つことができるからです。
歯科診療に携わるということは、この仕事を辞めるまで勉強を継続するということです。時には予想と反する臨床結果に戸惑い悩み、歯科医師同士でお互い叱咤激励しながら、卒業後から現在に至っています。
当院院長主宰の研究会では、講習会の時期がそろそろやってきます。共に考え悩み相談しあうことができる仲間が集います。
わたしたちが考える「オールマイティーな技術と知識」とは広く、そして深くあるべきもの。
歯科に携わる者同士、刺激を受け合いながらさらに高みへと進む。それは幸せなことです。
]]>「保険外または保険内の範囲で製作されるものがよいのか?」
「保険外と保険内、この2つは何がどう違うのか?」
このあたりに興味が集中するようです。
保険外と保険内。費用や使える材料は当然違います。
しかし、完成まで有する手間暇が格段に異なり、全くといっていいほど違います。
■重要な考え方「そこにあるべき姿を再現する」
口腔内において修復治療が必要になった際に重要なことがあります。
世界的に著名な歯科技工士で、ワシントン大学歯学部名誉教授の桑田先生のお言葉を拝借すれば「そこにあるべき姿を再現する」につきます。
この簡潔な言葉を具現化するには、一人の患者さんの修復治療に際して歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士、デンタルコーディネーター等の密接な関係性(インターディシプリナリー)が非常に重要であり、各々が天然歯を深く理解していないと修復治療は達成できません。
★歯科医師は
「そこにあるべき姿を再現する」ために必要十分な支台歯形成を行わなければいけません。どのように対合歯と咬合させるかや、特に歯肉と関係する、エマージェンスプロファイルの形態を考慮することは、予防の観点からも重要です。プロビジョナルフェーズを経て最終印象へと入るわけです。
★歯科衛生士は
「そこにあるべき姿を再現する」ために歯周組織の炎症をコントロールし、支台歯形成・プロビジョナルクラウン装着までに歯周組織環境を整えます。また「そこにあるべき姿に再現された」補綴装置にトラブルが起きないようにメインテナンスで十分に管理することが必要です。
★歯科技工士は
「そこにあるべき姿を再現する」ために、ただ天然歯を模倣するのではなく、機能性をともなった咬合面形態・歯冠形態あるいはプラークが停滞しない、かつ審美性がともなった補綴装置を完成させます。
つまり『手間隙かける』このインターディシプリナリーがとても重要なのです。
今年から「桑田正博先生に教わる 天然歯形態のとらえ方」という題のもと新連載が歯科技工(医歯薬出版)で始まりました。しっかりと学ばせていただきたいと思います。
またこの機会にもう一度咬合に関しても勉強させていただこうと思います。
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「しっかり咬めず、あちこち歯茎が腫れるが、毎月歯科医院に通っている。」
これらは予防歯科だ、というイメージを持たれるかもしれません。
しかし、当院が考える予防歯科とは全く違います。
●「予防歯科」の本当の意味
お口の中の2大疾患は虫歯と歯周病です。
虫歯と歯周病の発生を止める、再発を防止すること。それが予防です。
治療した歯周病の再発を防ぐ。治した歯の虫歯の再発を防ぐ。かぶせた歯がトラブルなくお口の中で維持される。
治療する歯がない患者さんも、今後トラブルが起きないようにお口の中を管理していく。
これらを目標にプロフェッショナルによるケアで予防を提供しています。
不健康な状態のまま、さらに悪化させないようにすること等とは異なり、
よりよい健康を維持できてこそ"予防歯科"といえるのです。
予防処置の前に、歯周病であれば先ず歯周治療が必要になりますし、虫歯治療も行います。
虫歯も歯周病も生活習慣病と言えますから、患者さんの生活習慣を少し見直してもらう必要もあります。
お口の健康な状態を維持していくために、歯科医院では患者さんが日常、自宅でお口の中のお掃除できない(セルフケアができない)部分に対し専門的なケア(プロフェッショナルケア)を行いメインテナンスプログラムに入って行きます。つまり予防のプロセスに入るのです。
●患者さんの状況にあわせた。予防歯科は本来オーダーメイドです。
患者さんのお口の中はそれぞれ違います。インプラントを入れている方、可撤性義歯を入れている方、プラスティックの詰め物をしている方、セラミックや金属製の歯を入れている方などなど。
患者さんの生活習慣も違います。子育てや仕事で忙しくお口の中がしっかり磨けない方、糖尿病や高血圧など様々な疾患がある方、甘い物が好きでよくおやつを食べる方などなど。
生活習慣も違えば、生活環境もそれぞれ全く違うのです。
というわけで、患者さん個人個人で予防プログラムが違います。
予防処置に掛かる時間はお口の中の環境によって違うため必要な時間は様々です。
実際に行う予防処置の一例を流れでご説明挙します。
【1】前回と来院時の口腔内の変化を確認します。(お口の中のレントゲン、口腔内写真歯周診査等を記録しお口の中の変化を察知します)
【2】全ての歯の周りを手作業で特殊なインスツルメントを用い、歯の周りについてしまった汚れを1本1本落としていきます。(天然歯は超音波インスツルメント等でクリーニングをする場合もありますが、セラミックが口の中にある場合はセラミックに傷がついてしまうため超音波インスツルメントが使えません。)
【3】患者さんに適したフロス・歯間ブラシ・歯ブラシを用いて、歯の間と歯の表面をきれいにしていきます。
【4】その患者さんに適した歯磨用ペーストを用い、チップで歯の表面に汚れがつきにくいように磨いていきます。
【5】虫歯予防や知覚過敏予防のために歯にコーティングを行います。
【6】お口の中をクリーニングしていて、術者が問題と感じた部分や磨き残しのある部分を患者さんにお伝えして、さらなる口腔内の清掃を強化します。
毎日使う物だから、お手入れも大切。どこかのCMでも聞いたことがあるようなフレーズです。
お口は食事をとり、飲み物を飲む、会話をし、時には笑う。さまざまな役割を担っているのです。
]]>細菌数と細菌が出す酵素の量は「便10グラム分」に匹敵します。つまり、
『起床時の口の中=便10グラム』
というわけです。就寝前に歯をしっかり磨いても、就寝中に唾液の分泌量が低下するため口の中の細菌数は爆発的に増えてしまうのです。
なので、とにかく朝起きたら、先ず歯を磨く!!!
これが健康の第一歩につながります。
今年もインフルエンザの拡大が心配されています。
乾燥が進む冬の時期は特に注意が必要です。
インフルエンザウイルスは、細菌が出すタンパク分解酵素(プロテアーゼ)と出会うことによって感染が起こります。
口腔内細菌が増加し喉まで広がり、喉での細菌叢がウイルスにより感染すると、その奥(下部気道)にまで感染が広がっていくのです。気道の粘膜には防御機構があります。しかし息を吸い込んだ時にウイルス粒子は気道粘膜に付着し、粘膜の防御もはねのけて喉の細菌を足がかりにして細胞内に侵入してしまいます。
つまり、インフルエンザウイルスが活発になるか否かは、口腔ケアに委ねられる部分も大きいといえるのです。
起床直後の歯磨きにより、口腔内細菌の数だけでなく、細菌の出すタンパク分解酵素のレベルを減らすことができれば、インフルエンザ感染のリスクも低下するというわけです。
お口の中を清潔に保つ『正しい口腔ケア』。それはインフルエンザに罹患しにくくする非常に有益な手立てなのです。
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当医院では、そんな印象を持たれる患者さんが少なからずいらっしゃいます。
しかし、それは絶対に必要なことなのです。
予防診療や治療を受け持つ歯科衛生士にとって、患部を正しく視る力は最低限必要な能力です。
しかも、それだけでは不足。
●「経過を視る」こと
● 患者さんの状態を「理解する」こと
患部だけでなく患者さんへの理解に至るまで、二つのことを大切にしています。
患者さんはロボットではありません。以前できていたケアが今回は足りない、前回は問題なかった部位が今回悪化している…、常に変化するのは自然なことです。
あるとき改善したから今後も大丈夫、とはいきませんよね。
どこがどのように変化したのか。正確に把握することは、治療はもちろん患者さんへの深い理解につながるのです。
もうひとつ、とても大切なことがあります。
● 正しく撮影すること
写真資料は、口腔内の状態を正確に把握できるものでなくてはなりません。
それは思うほど簡単ではないのです。
自然な光のもと口腔内を再現できないと、診査・診断には到底使えません。
ただ撮るだけは論外。写真家のような印象的な写真でもだめ。高度に特殊な技術なのです。
当医院では口腔内撮影カメラを常に検討し続け、いまではもう何台目かわかりません。
患者さんに寄りそう歯科衛生士。それは精神論だけでなることはできません。
正しく撮影ができること。丁寧に診査資料を重ねて読み解いていけること。
そこではじめて、本当の意味で寄り添えているといえるのです。
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「いびき」は寝息とは違う、病的な状態であることをご存じでしょうか?
いびきというと一般的には男性のイメージですが、
女性も更年期を過ぎたあたりからいびきをかく人が増えます。
■睡眠時に呼吸が止まる。恐ろしい疾患
こんな場面に遭遇したことはないでしょうか?
ガアガアといびきをかいていた人の呼吸が急にすっと止まる。
周りにいた人はどうしたんだろうと、いびきの主をのぞき込む。
すると「フーッ」と呼吸が再開する。こうした状況が一晩に何回も繰り返される…。
いびきと密接に関係のある代表的な疾患に『睡眠時無呼吸症候群』があります。
前述した状況は、まさにこの疾患なのです。
つまり睡眠時無呼吸症候群とはその名の通り、"眠っている最中に呼吸が停止する事によって
様々な疾患を引き起こす"とても恐ろしい病気なのです。
『習慣性のいびきがある。』『昼間に異常に強い眠気を感じる。』
『睡眠時間を十分とっているはずなのに、どうも朝疲れがとれていない。』
という方は、もしかしたら睡眠時無呼吸症候群かもしれません。
■睡眠時無呼吸症候群のメカニズム
呼吸とは、空気中の酸素を体内に取り込み、体細胞内に送り届け、細胞内で産生された
二酸化炭素を外気に排出することを言います。
換気とは吸気と呼気を繰り返し外気と肺の空気の交換を行うことで、
換気が低下すると肺胞内及び血液中の酸素は減少し、二酸化炭素が蓄積されます。
そして血液中の二酸化炭素が増え、血液pHが下がるのです。
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眠る
↓
睡眠時無呼吸・低換気
↓
肺胞ガス交換障害
↓
低酸素血症
↓
覚醒
↓
換気再開
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これらが起こることにより、不正脈や、内分泌・脂質代謝異常を起こします。
睡眠時無呼吸症候群の患者は一般人口に比して高血圧症が2倍・狭心症が3倍・心筋梗塞や脳梗塞などが
4倍の有病率であるという報告もあります。(Weke Up America:A National Sleep Alert)
■睡眠時無呼吸症候群と歯科医療との関わり
さて、これまで書いてきたことは一見、歯科とは関わりが薄いと思われるしれません。
しかし、オーダーメイドのマウスピースによって、睡眠時の下顎の位置を変えたり、
あるいは口腔内容積を広くとることで、睡眠時無呼吸症候群に対応できる場合もあります。
つまり、歯科とも密接に関わりがあるといえます。
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メイクという言葉に代表されるように、
美しく塗り作り上げるもの、また流行を意識して楽しむという側面もあります。
いずれにしろ、医療とはかけ離れた印象があります。
しかし、歯科と皮膚科でしか購入できないリップクリームがあります。
特徴はリップクリームを塗った後、唇がふっくらとすること。
つまり機能面で違うのですね。
歯科の大きな役割に、美しさ(審美)と機能性のバランスの追究があります。
こぼれるような笑みで、自分以外への印象を高めること。
よく考慮された咬合で優れた咀嚼機能を手に入れる、といった自分自身で感じる豊かな気持ち。
どちらも満たされて、美しさと快さを手に入れることができるのです。
そうした意味で、口唇をふっくらとするリップは、
表情をより美しく魅力的に、印象を左右するものであり、
歯科との関わりも非常に深いといえます。
『くちびる』がふっくら、ぷりぷりになるリップ。
木枯らしが吹く季節は、カサカサ唇とさようならしましょう。
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口臭、歯並びが気になる。何となく咬みにくい。取りあえず虫歯の痛みを取って欲しい…また、悩みを持つ患者さんの年齢もまた多様といえます。
今回は、患者さんの年齢と治療、いわゆる『ライフステージ』についてです。
歯科医療は同じ治療を行ったとしても、年齢により治療効果は様々です。10代や20代の若年層から40、50代のミドル、そして80、90代まで各年代ごとに大きく異なるだけでなく、患者さんの生体にも影響されます。ざっと書き出しても
・口腔内を維持するケア能力
・咀嚼筋群の力
・歯の残存本数
・唾液量
・全身疾患の有無
・口腔内に装着されている補綴の種類
…これほど多種多様な要因に左右されるのです。
仮に、どの世代でも治療の差がなさそうな軽度の虫歯治療でも、セルフケアの行き届いた10代とカリエスリスクが高く唾液量が少ない高齢者では選択すべき材料が全く違ってくることもあります。
歯周治療はいうまでもありません。「もう年だから・・」「あと10年くらい食事を楽しめればいいから・・・」そうおっしゃる高齢の患者さんは少なくありません。しかし、治療のチャンスを逃した後で全身疾患を患い、本来受けた方がよかった治療が既に手遅れいうこともあります。
それぞれの年代、ライフステージにあわせた材料や治療内容の選択はとても重要といえます。なぜなら、豊かな『クオリティオブライフ』の実現につながるからです。
]]>セルフケアに必要なツールが、歯ブラシ・歯間ブラシ・フロスでした。
しかし、この3つでカバーできない箇所があります。それが口腔内粘膜です。
■美容とアンチエイジングを司る、口腔内粘膜の刺激
口腔内粘膜を刺激できれば、唾液の分泌が盛んになり、表情筋の緊張を和らげる可能性が高くなると考えられます。
唾液が増えると口の中の細菌が減り、
表情筋が柔らかくなると顔の皺や弛みが和らぎます。
つまり、口腔内粘膜はアンチエイジングと美容を司る、非常に重要なケア部位なのです。
■美容とアンチエイジングをカバーできる第四の歯ブラシ
口腔内粘膜専用の、第四のケアツールとして、全周が球状になったブラシがあります。全方向にブラシがあることで、患者さんもまんべんなく口腔内粘膜を刺激でき、マッサージが行える(画期的な)ブラシといえそうです。
また、使用感も心地よく継続的に使えるのもいいですね。
老け顔を防ぐためのセルフケア。
より健康な口腔内を維持するためのセルフケア。
第四のケアツールとして、今後にも期待しています。
第四のケアツール くるリーナブラシ
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「Academy of Prosthodontics」アメリカで最も歴史が長い歯科学会である。
光栄なことに、尊敬する桑田正博先生とご一緒させていただくことができた。それだけでも筆者にとっては嬉しいことであるが、学会はWilson. Snow. Gysi. Mann‥など論文でよくみた名前の先生方が構成メンバーという権威ある学会なのだ。
学会は1918年からのこれまでの歴史を振り返ることから始まり、歯科治療における大切な根底にある物は失わず、新しい技術を応用し、さらに臨床のレベルを上げていくことの大切さがわかる症例へと続く。見応えが有り勉強になる症例ばかりだ。
トピックはやはりデジタルデンティストリー。CAD/CAMそして3Dプリンターの様々な応用例が示されていた。
当院でも使用しているが、「3shape trios」は口腔内をスキャンすることにより、高精度で高速に光学印象採得が可能となる。安全安心なインプラント設計には今では欠かせないアイテムとなっている。通常は患者さんの口腔内の印象を採得し、模型におこす。この手間がないだけでも精度が格段に上がるのだ。つまりインプラントの位置決めの誤差も格段に少なくなる。今後のますますの技術革新が楽しみな時期に来ていると痛感する今日この頃である。
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デザインにあわせて彫り上げたカボチャ。
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にぎやかなハロウィンの風景です。
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上からみた図。北山茂野歯科医院の文字です。 |
いま巷を騒がせていますが、「再生医療」をいかに臨床の現場へ活かせるかを考える会です。
今回は、ドイツのロストックで5日間開催され、次回はイギリスグラスゴーで開催が予定されています。
世界各国、各方面から多くの研究者が集まり、当院の院長と副院長も、京都大学の研究者として参加・発表しています。
発表テーマをそれぞれ記します。
・北山茂野歯科医院 院長
「人工神経管を用いた下顎神経再生」
・金子副院長
「The experiment of bone regeneration in the canine frontal sinus」
イヌの前頭洞での骨再生実験
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骨再生、歯肉再生、神経再生は、歯科領域において大変に重要なテーマです。
骨再生や歯肉再生が容易に出来るようになれば、歯科治療は変わります。
・インプラント治療や審美治療でうける患者さんの負担軽減
・骨が少ない患者さんの治療時間短縮
骨が非常に少ない場合、インプラント治療を受け、最終的なかぶせものが装着されるまでに非常に時間がかかります。骨再生が自在に出来ればは、最終補綴物までの装着時間が短くてすむと考えられます。
歯周病で骨がなくなって歯が動いている場合でも、骨が簡単に再生できるようになると失う歯も減らすことができます。
京都大学再生研からips研究所長になられた山中先生がノーベル賞を受賞されました。
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いつも当ブログで触れていることですが、歯科衛生士としてメインテナンスを行う際、どうしても手技業務に目がいきがちです。もちろん、大切なことに変わりありません。
しかし、日々の診療で、口腔内にわずかな差異を見つけ出す視点、『変化』を捉える目の重要性こそが、歯科衛生士、歯科医のレベルを大きく左右します。
修復物を製作するうえで大切なことは、そこにあるべき姿を再現すること...
愛歯校長の桑田正博先生から教えられた言葉です。
一見言葉はやさしいのですが、何もない場所に"あるべき姿"を見る、という大変難易度の高いことを指摘されています。この視線、視点こそがインプラントのメインテナンスに欠かせない 「プロフェッショナルな目」であり、尊さなのです。長年の学習と臨床キャリアを重ねないと、なかなか身につくものではありません。
当院での院長のインプラント治療の実績は30年以上です。しかし、この実績は、歯科医師と歯科衛生士、インプラント治療を受けた患者さんの3者によって重ねられてきたものです。
☆いかに患者さんがメインテナンスしやすい歯周環境につくりあげているか?
☆インプラントと天然歯の歯周環境の違いを理解し、メインテナンスの手法を熟知しているか?
☆患者さんがいかに定期的に医院にメインテナンスで来院していただけるか?
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先日のブログでも触れましたが、患者さんに聞かれることが多い
『インプラントはどのくらいもちますか?』
という質問。さて、どう答えましょうか?
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生体は、明日どうなるかは誰にもわかりません。これが私たちの解答です。
人工のものを口腔内で長く持たせるには、医院サイドの努力だけではなく患者さんが医院にメインテナンスで通っていただくことの重要性を忘れてはいけません。
『インプラントはどのくらいもちますか?』
高額な治療費と長い通院期間をかけるわけです。まっとうな疑問です。正確な答えを出してあげたい。そう思うでしょう。
しかし、キャリアを積めば積むほど、この質問には、簡単に答えられないことがわかってきます。毎日機能する口腔内のインプラントの寿命は、環境により大きく変化するからです。
当院の歯科衛生士や、ドクターはこう答えています。
『インプラントは人工物です。人工物で永遠に変わらないものは、残念ながらこの世にありません。また生体はもっと変化します。明日の自分がどんな状態か?正確に答えられる人はまずいません。しかし、出来るだけ長持ちさせることは出来ます。
それは、患者さんと当医院が一緒になって、「メインテナンス」を行う。
一緒に長持ちさせる努力です。
わたしたちは臨床は日々勉強と捉え、『長持ちのためのメインテナンス」に取り組んでいるのです。