広く、そして深い"オールマイティー"な技術と知識とは

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     ある歯科の分野だけに特化した治療、考え方の追求はとても大切であると思います。米国での歯科治療では専門医、つまりスペシャリストが存在します。

    例えば根管の治療を根管治療の専門医が行い、その後の修復治療は、補綴の専門医が行います。もちろん各治療は全てが自由診療です。

     

    しかし、私が尊敬している桑田先生と以前お話をしていた時、米国の専門医のあり方は昔と少し変わってきているとおっしゃっていました。

    これまでは補綴の専門医であってももちろん、根管治療や歯周治療、口腔外科にいたるすべての歯科、どの科目にも精通していた。しかし、現在はそうでなくなってきている。そうした傾向があるということなのです。

     

     口腔の機能や役割を考えると、全ての歯科分野においてオールマイティーな技術と知識が必要になると考えています。

    例えば歯周治療専門医は、炎症のコントロールと咬合力のコントロールに精通しているから歯周病患者さんの治療が行え、補綴専門医であっても歯周疾患治療ができるからこそ、機能が整った美しい歯並びを保つことができるからです。

     

     歯科診療に携わるということは、この仕事を辞めるまで勉強を継続するということです。時には予想と反する臨床結果に戸惑い悩み、歯科医師同士でお互い叱咤激励しながら、卒業後から現在に至っています。

     

    当院院長主宰の研究会では、講習会の時期がそろそろやってきます。共に考え悩み相談しあうことができる仲間が集います。

     

    わたしたちが考える「オールマイティーな技術と知識」とは広く、そして深くあるべきもの。

    歯科に携わる者同士、刺激を受け合いながらさらに高みへと進む。それは幸せなことです。


    患者さんへの説明。重要なのは「科学的な根拠」を柱にすること。

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       「歯間ブラシを使うと歯茎が下がりすきまができるので使いません。
      フロスだけ使えばいいと、前医に指導されました。」

      「歯石を取ると歯が動き出すので、歯石除去はやめて下さい。」

      そんな初診の患者さんの言葉を耳にすることがあります。
      患者さんが誤った認識をしているのか?もしくは本当に前医にそのように思い込まされてしまったのか?

       ここでのポイント!これらの事柄に科学的根拠があるかどうか?ということです。

       例えば、歯周病が進み骨吸収を伴い、さらに歯間部歯肉に炎症が有るとします。
      炎症消退の治療を行って、なおかつ患者さんにセルフケアを徹底してもらいます。
      炎症が消退すると骨のラインに沿って歯間部の歯肉は下がるため、歯間部には当たり前に空隙が出来ます。
      これは治療の成功でありまた、自然の摂理であり、正常な歯肉に戻ったと表現することが出来ます。
      つまり科学的根拠に基づいた治療なのです。

       もし、歯間部の炎症をそのまま放置しておくと炎症はずっと存在するため、時間をかけて
      さらに骨は吸収し、やがては歯を失うことにつながります。

      炎症をそのまま放置し、歯を失うのか?
      歯間部の炎症を取り除き歯を保全するのか?
      答えは明らかですよね。 

      歯を失わないように医院側も、患者さんもお互い治療に参加していく事が歯周病治療です。

       日々診療を行い、患者さんと接していると誤った認識をしている患者さんがかなり多いということに気づかされます。

      患者さんのこういった思い込みを払拭する作業がとても大変です。
      しかし、私達が出来ることは科学的根拠を用いたお話を患者さんにひたすら何度も説明する。
      こうして誤った認識を正しい認識に変えて行く。

      そういったこともとても重要な使命と言えますね。



       

      歯科医院のチーム医療に必要なのは"血"!?

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         皆さんこんにちは。

        書店で気になったことから。
        どこの本屋さんに行っても、夥しい数のダイエット本が書棚を埋め尽くしています。

        「○○だけダイエット」
        「ウエストが○センチ細くなる」
        「リバウンドなし!○○ダイエット」

        よく次から次へとアイデアが出てくるなあ、と感心さえします。
        身体のメカニズムはとても複雑です。たとえば、
        「今日食べた魚は、身体のどこのどの部分になったのか」
        正確に答えられませんよね。

         コラーゲンでお肌はつやつや!ヒアルロン酸やグルコサミンを飲んで関節は元気!
        そも高分子で構成されている物を食べても、肌に塗ってもそのまま吸収されるはずがない。

         身体が生命体ではなく、シンプルな構造だったらダイエットや美肌作りは簡単です。
         
        ところが、実際の身体は、各器官がお互い綿密に、影響しあう大変に複雑なものです。
         その中で唯一身体の各器官をめぐっているものがあります。「血液」です。血液循環が滞ると、組織や臓器に痛みが出たり、腫脹してきたり。。血液が体内を循環してくれ、立派な生命体としてなりえているのです。


         
        チーム医療も身体と同じです。

        歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、デンタルコーディネーター、受付スタッフ、クリーンスタッフ・・・歯科医療は一人ではできません。

         クリーンスタッフは患者さんに心地よく来院していただくために医院を清掃する、デンタルコーディネーターは、患者さんの抱えた悩みを歯科医師や歯科衛生士に伝える、歯科技工士は、患者さんがメインテナンスしやすく、機能的な顎運動を営める修復物を製作する…、など、すべてのスタッフが患者さんに向き合って初めて、チーム医療が成り立ちます。

        チーム医療は身体と一緒!では、チーム医療が円滑にかつ適切な働きを促す「血液」の働きをするものは何でしょうか?


        スタッフのコーチング?単に人を動かすしくみだけで成功するなら苦労はしません。
        NLP?マネージメント?しかし、高度な連携は難しいものです



        必要なものは「コンセプト」です。

        身体が常に、環境に適応し、変化し、成長し続けるように、歯科医療の現場では成長の基になる「コンセプト」は欠かせないのです。
        チーム医療がしっかり成り立っている医院は、「コンセプト」と声を高らかに言わずとも自然とできあがっています。
        コンセプトはそれぞれの医院が自ら作り上げるものなのです。

        医院にとっての「血液」。モチベーションを保ち続ける哲学なのです。

        知ってるつもり、のメインテナンス

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          「形骸化するメインテナンス?」
          歯科診療を象徴する重要なテーマです。
          決して大げさではありません。

          最近、当院の患者さんの中に、
          今まで歯科医院へメインテナンスで通っていたのに、歯肉縁下には歯石がたくさん、という方がいらっしゃいます。
          これらの患者さんの主訴は、「引っ越してきたので、クリーニングをして欲しい」「着色が気になる」等の、自分の目で口の中をみて、確認できることを気にしていることが多いようです。

          口腔内の健康状態は、見た目だけではわかりません。

          プロービングを行い、デンタル14枚法で歯と骨の状態を診査し、はじめて歯周組織の健康状態が正確にわかります。
          今までメインテナンスに通っていたという初診の患者さんに、診査を行い、デンタルX線写真に写る歯肉縁下の歯石の付着状況をお見せし、口腔内の状況を説明すると、みな一様に愕然とされます。

          残念ながら、こうした患者さんは決して珍しくありません。

          口腔内の健康に関心がない方ならいざ知らず、口腔内への関心が高い患者さんでさえ、初診で来院される際には多くみられるケースです。特にここ最近増えています。



          メインテナンスの本来の意味は、
          治療をして健康になった口腔内を「維持」することです。

           メインテナンスは、もちろん、スケーリング等を行う作業だけではありません。
          治療により健康になった口腔内を良好に維持していくためには、口腔内の問題をいち早く見つけだし対応していくスキルや、
          診断能力も必要です。時には患者さんのセルフケア状況を細かく確認することもあるでしょう。

          実に幅の広い、深い歯科診療なのです。

          忙しい毎日を過ごす中で、患者さんが自宅で100%完璧に歯を磨くことは難しい。
          だからこそ患者さんが日々のケアで出来ないところを医院側が補うために、患者さんに来院していただく必要性がある。
          そしてはじめて患者さんの口腔内は良好に保つ事ができるのです。

          メインテナンス

          やってるつもり、知ってるつもりでは、???ですね。

          木を見て森も見る 審美治療

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             「木を見て森を見ず。」というとスタッフから「八百万の神は細部に宿ります。」といいかえされた。な〜んて、ことわざの使い方教室より。

             さて、いきなり審美治療について少し。
            ポピュラーな治療になって久しいのですが、その実、大変に難易度の高い治療でもあります。
            いわゆる、木も森も見る必要がある治療のひとつです。

            矯正治療やラミネートベニア修復など、審美に関わる治療技術においては、
            細部へのこだわりがないと治療はできません。
             患者さんがほしいのは美しい表情、笑顔、機能する歯、顔貌と調和する歯列です。
            木をつくる技術を充分に持ちながらゴールは美しい森、というわけです。

             同じ歯でも、みえる距離で歯の印象は大きく異なります。
            30cmの距離で凝視する場合(日常生活ではあり得ませんが)と、2m離れて全身とともに歯をみたとき、歯の色よりも大きく見た目を左右するのは、歯の形や歯列の整然性です。

             1本だけ歯をみつめていては、全体のバランスを整えることができない。
            理想的な口腔イメージを実現するには細部を見渡せる目と細部を表現できる技術がいる。
            木も森の一つ、森は木の集合体、「白く並んだだけの歯」=審美歯科、をそろそろ卒業しませんか。

            歯科診療における患者さん第一とは?

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               秋入学が話題にあがっていても、
              三月、四月は入学、異動の時期として慣れ親しんでます。
              新人歯科衛生士や新人デンタルコーディネーターを迎えた医院さんも
              多いのではないでしょうか?

               この季節は桜の花が咲き、散るように
              患者さんとの出会い、別れもありますよね。

               全ての歯科医院で働く新人さんに伝えたいこと。。

               当医院で大切に考えていることの一つに
              「患者さんに寄り添うこと」があります。

               「お客様第一主義」
              というスローガンを目にしたことがある方がきっと多いはず。
              何でもお客様の希望にあわせて提供することと
              お客様の理想に向かって、一緒に寄り添って目指すこと。。

              では歯科に置き換えてみると、どうでしょう?

               患者様の要望をお伺いし、満たすこと…

              とは残念ながらなりません。。

              こんな想像をしてみて下さい。

               あなたはいま、花にとまるハチをお客様と一緒にみているとします。
              「かわいいわね!見せて!」と言われました。
              「はい、かしこまりました」と丁寧につまみ、手渡します。
              すると、ハチはお客様を刺して飛んでいった。
              「痛い!痛い!」と泣き叫ぶお客様。


              治療期間を短くしてほしい。
              麻酔はしないでほしい。

              ならば、短くしてさしあげよう。
              虫歯が深いが治療は止めておこう。


               医療は患者さんに迎合しようとすると本質を見失ってしまうことがあります。
              何が問題になっているのかを患者さんに説明し、
              患者さんの要望通りに治療を行うと何がリスクとなるのか?

              単純に考えて処置することと患者さんに寄り添うことは違うのです。

               本質を見失うことなく治療にあたる。

               新しい出会いの中で、寄り添うこと、、をちょっと心の片隅にでも
              置いておいてください。





              妊婦患者さんへ、歯科衛生士が取り組むべき2つのこと。

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                  今日はひな祭り。

                女のお子さんがいらっしゃる家庭では、忙しい時期ではないでしょうか。
                私も幼いときは、雛飾りがとても楽しみでした。
                でも、今は飾るのに大忙し・・片づけるのも大変だし。。


                 さて、小さなお子さんではないですが
                当院では、妊婦の来院患者さんも少なくありません。

                ■低体重児早期出産を減らす役割としての歯周治療

                妊娠中はおなかの中の子供への影響を考え、
                患者さんに伝えてあげたいことがたくさんあります。
                歯科衛生士の大切な仕事です。
                中でも

                歯周治療によって低体重児早期出産をなくすことができる点
                 (National Insure Private Data)

                これは特にお伝えしたいことです。

                 妊娠中はつわりやホルモンのバランスの影響、
                あるいは嗜好の変化によってお口の中は大きく変化します。
                定期的なメインテナンスが細菌叢をコントロールすることは歯科衛生士にとって重要なこと。


                ■親にかかっている、幼児からの顎の成長。
                意識付けは歯科衛生士の役目。

                 生まれてくる子供のためにも、食習慣についても考えてもらうのも重要です。

                 食は顎の成長にも大きく影響を与えます。

                ・現代人は昔の人に比べて顎が小さくなったと言われてきましたが、
                縄文人と現代人の下顎骨の大きさは同じ。
                つまり、歯が舌側傾斜しているため歯列幅が狭まっていることによって叢生がが引き起こされる。
                (日本大学松戸歯学部葛西教授の研究結果)

                 現代食は軟食化が進み、あまりかまず"飲み込む”食事が増えました。
                噛む=咀嚼することが及ぼす様々な効果を改めて患者さんに情報提供したいものですね。


                 ひなまつりは、小さな子どもたちのためのもの。
                親となる人には、口腔を通じて正しく重要な知識をつけてもらいたいものです。

                そのためにも、歯科衛生士として、
                日々、アンテナを高くもち、情報のアップデートが欠かせませんね。



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